台風は風速が17.2メートル以上って聞いたけど、どういうこと?
まず台風のもとになる熱帯低気圧(ねったいていきあつ)の話からしよう。熱帯低気圧はあたたかい南の海上でできるんだ。
この熱帯低気圧の中では風がぐるぐる回りながら吹(ふ)いていて、その最大風速が17.2メートル以上になった時に「台風」って名前に変わるんだ。
どうして17.2メートルなの?
なんか中途半端(ちゅうとはんぱ)な数字だよね。
これは台風の風の強さはもともとメートルじゃなくて、風力(ふうりょく)で表されていたからなんだ。
風力ってなに?
むかしむかし風の強さの分類(ぶんるい)がなかった時代に、イギリス海軍が波のようすと自分たちの経験を参考にして、風の強さを0から12まで、全部で13の階級(かいきゅう)に分けたんだ。これが風力だよ。
例えば、風力0は「水面が鏡のようにおだやかで風はない」。風力2は「水面にさざ波が立って軽く風が吹いている」というふうにね。
それから、世界的にこの風力の階級を使って風の強さを表すようになっていったんだ。考えた人の名前をとって「ビューフォート風力階級」と言われるよ。
それで台風の風にも使われるようになったの?
そのとおり。
太平洋戦争(たいへいようせんそう)中、アメリカ軍は作戦を練るために台風の観測(かんそく)をしていて、この時も風の強さの目安(めやす)に風力を使っていたよ。
そして戦争が終わると、日本もアメリカ方式で台風を記録(きろく)するようになったんだ。例えば熱帯性低気圧は風力7から11、台風は風力12以上というようにね。
へぇ、そうなんだ
そのあと、日本では風による被害が出始める風力8以上の熱帯低気圧を台風と呼(よ)ぶことに決めたんだ。ちなみに風力8は「海上にやや小さい大波ができて」「波のてっぺんがくだけて煙(けむり)のような細かい水しぶきができる」ような状況だよ。
でも風力8とか9とか、波のようすを正確(せいかく)にみるのはむずかしそう
そうだね。波は動いていて常(つね)に形が変わるからね。
だから、やがて風速計(ふうそくけい)で風の強さを正確(せいかく)に測(はか)れるようになると、風力のかわりに風速計のデータを使って風の強さを表すようになっていったんだ。
見た目の判断(はんだん)より、機械のほうが正確だよね
うん。そして風力を風速に換算(かんさん)する方法も考えられたんだ。
当時は風速の単位(たんい)はノットが使われていて、風力8は風速34ノットから40ノットと決められたんだ。この34ノットと40ノットは切りのいい数字だけど、これを細かくメートルに換算してみると、17.2メートルから20.7メートルになるんだ。
17.2メートルが出てきた!
そう。
日本では風力8以上を台風と呼ぶことに決めて、そして風力8をノットからメートルに換算したら「17.2メートル以上」になったってことなんだよ。
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