台風の上陸、接近、通過はそれぞれ気象庁が定めた定義があり、ニュース解説や気象予報士解説ではそのルールにしたがって伝えられています。
■台風の上陸
「上陸」とは、台風の中心(目)が、北海道・本州・四国・九州の海岸に達した場合を指します。上陸すると、その地域は暴風や大雨の直撃を受け、被害が大きくなります。
■台風の接近
「接近」とは、台風の中心が陸地のすぐ近くまで来た状態をいい、「ある地点」に接近したのか、「ある地域」に接近したのかで定義が分かれています。
①ある地点への接近:台風の中心(目)が、その地点から300キロ以内に入ること
②広がりをもった地域(◯◯地方など)への接近:台風の中心(目)が、その地域に含まれる気象官署等から300キロ以内に入ること
いずれの場合も、300キロ以内に台風の中心(目)が近づくと、「接近」と言われるようになります。
ちなみに「日本本土への接近」と言う場合は、北海道・本州・四国・九州のいずれかへ接近した場合を言います。台風が上陸していなくても、強風域や暴風域がかかれば大きな影響があるので、「接近」の場合でも厳重な警戒が必要になります。
■台風の通過
「通過」は、台風の中心(目)が、小さい島や小さい半島を横切って、短時間で再び海上に出る場合を言います。ある地点を「通り過ぎていく」ような状況です。
ところで、「上陸」「接近」「通過」の定義に照らし合わせると、沖縄本島に台風の中心(目)が達した場合は、「上陸」ではなく「通過」との表現になります。「上陸」の定義は「台風の中心(目)が、北海道・本州・四国・九州の海岸に達した場合」となっていて、「沖縄」は含まれていないからです。
また、ニュースで「直撃」と伝えられることがありますが、「直撃」は気象庁で使用される気象用語ではありません。一般には、ある地域が風速25メートル以上の暴風域に巻き込まれた場合に、ニュースなどで「直撃」と表現されるようです。
接近・上陸・通過のいずれの場合も、暴風雨、高潮などの命に直結する危険があるため、タイミングに応じて避難行動や備えを進めることが大切です。
台風の上陸、接近、通過の違い

コメント