台風による被害は多岐にわたります。主なものとしては、①暴風による建物の破損や倒木、②大雨による河川の氾濫や土砂災害、③高潮による沿岸部の浸水、④停電や交通機関の混乱、⑤農作物への影響などが挙げられます。

最近は治水事業が進み、大河川の氾濫は少なくなっているようですが、都市部では開発が進んで街がアスファルトやコンクリートで覆われて保水機能が低下し、水害に占める都市部の割合が増えているといわれます。
台風の進路や勢力、地形や土地の状態によって、被害の種類と程度は異なります。街中では強風で看板や街路樹が吹き飛ばされたり、飛んできた物で窓ガラスが割れるなどの危険があり、農村部では農作物や農業用ハウスの損壊、養殖用いかだが流されるなど経済的にも深刻な被害を受けます。被害を避けるには気象情報や避難指示をこまめに確認し、早めの対策が重要です。

令和元年(2019年)台風19号による被害
近年の大きな被害の例として、内閣府の情報を参考に令和元年(2019年)に東日本を襲った台風19号(令和元年東日本台風)を振り返ります。
大型の台風19号は、2019年10月12日の午後7時前に強い勢力で伊豆半島に上陸、その後、関東地方を通過していきました。台風本体の発達した雨雲や台風周辺の湿った空気の影響で、静岡県や新潟県、関東甲信地方、東北地方を中心に広い範囲で記録的な大雨となり、10月10日から13日までの総降水量は、神奈川県箱根町で1000ミリに達し、東日本を中心に17地点で500ミリを超えました。静岡県や新潟県、関東甲信地方、東北地方の多くの地点で、観測史上1位の降水量が記録されました。

このとき気象庁は、静岡県、神奈川県、東京都、埼玉県、群馬県、山梨県、長野県、茨城県、栃木県、新潟県、福島県、宮城県、岩手県の1都12県に大雨特別警報を発表し、最大級の警戒を呼びかけています。
台風19号の接近、上陸、通過により、広い範囲で河川の氾濫が相次いだほか、浸水害、土砂災害等が各地で発生しました。内閣府によると最終的な被害は、死者91名、行方不明者3名、重傷者42名。住家被害では、全壊が3,273棟、半壊・一部損壊が63,743棟、浸水が29,556棟となっています。
また、関東甲信越地方、東北地方を中心に停電や断水が相次ぎ、停電が最大で約52万戸、断水が最大で約16.8万戸発生するなど、ライフラインにも大きな被害が生じました。このほか、鉄道の運休等の交通障害が発生し、道路の損壊や道路への土砂の流入、橋の流出などにより多数の孤立地域が発生、住民生活に大きな支障が生じ、農林漁業等の経済活動にも大きな影響を及ぼした、と記録されています。
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