今年のハリケーン発生数は記録的な多さに

2024年7月7日午後11時56分(米国東部夏時間)
NOAAの衛星GOES-16(GOES East)によるメキシコ湾のテキサス州沿岸に接近するベリルの衛星画像

8月8日のNOAA(アメリカ海洋大気庁)の発表によると、今年の大西洋でのハリケーンの発生数は、過去一番の記録的な多さとなる可能性があるようだ。NOAAの国立気象局では、ハリケーン発生のピーク期に近い8月は、ハリケーンのリスクを認識し、強風、高潮、大雨による洪水などの脅威に備え、避難を求められた場合は計画的に行動するよう、国民に広く呼びかけている。

NOAA 気候予測センターの予報官が定期的に行っているハリケーンシーズン予測の最新版では、今シーズンは、(命名するレベルに発達する)熱帯低気圧の発生数を17~24 個、そのうち8~13個がハリケーンになる可能性があり、うち 4 ~ 7 個が大型ハリケーンになるとのこと。この予測値は、今年すでに発生している2個の熱帯低気圧と2個のハリケーンを含んでおり、また今年5月に行った第一回の発表内容とほぼ変わらない。

2024年大西洋ハリケーンシーズン予測の最新版
ハリケーンシーズンの確率と命名される熱帯低気圧とハリケーンの数を示したグラフィックス

「(今年の)ハリケーンシーズンは、統計開始以降最も早くカテゴリー5に発達したハリケーン・ベリルにより、激しいスタートを切りました」と、NOAA長官のリック・スピンラッド博士は述べている。
「今回NOAAが出したハリケーン予測は、重大な影響が発生するハリケーンシーズンの歴史的なピークがすぐそこまで来ていることを想起させる重要なものです」

大西洋で発生する熱帯低気圧の平年数では、命名されるものが14個、そのうち7個がハリケーンになり、3個が大型ハリケーンになる。現在の大気の状態と海洋の状況をみると、今年のハリケーンシーズンは、この平年数を上回ることが予想され、その確率は90% と非常に高い数値になっている。ほぼ平年並みのシーズンになる可能性はわずか10% で、平年を下回る可能性はごくわずか。ちなみに大西洋のハリケーンシーズンは6月1日から11月30日までとされている。

すでに、今年発生している熱帯低気圧とハリケーンにより大きな影響が出ている。

(1)6月17日に発生した熱帯低気圧「アルベルト」は、発生後数日の間にテキサス州とニューメキシコ州の一部で約300ミリ(1フィート)の雨をもたらし、鉄砲水による緊急事態を引き起こした。 
(2)ハリケーン「ベリル」は7月1日、過去最も早くカテゴリー5に発達したハリケーンとなった。ベリルはカリブ海のいくつかの島々で壊滅的な被害をもたらし、約20人の死者を出した。さらに、テキサス州、ルイジアナ州、バーモント州で約25人(暫定数)の死者が出た。 

NOAA気候予測センターのハリケーンシーズン主任予報官マシュー・ローゼンクランズ氏は、「ハリケーン・ベリルは大西洋域における長年の記録をいくつも破りました。今もなお、(海上では)活発な気候学的特徴が見られます」と語る。「海面温度は異常に高く、このハリケーンシーズン中にラニーニャ現象が発生すると予想されているため、すぐに(災害に)備えるべきです」とも。

NOAA のハリケーンシーズン予測は、シーズン全体の活動を対象にするもので、上陸の予測とは異なるものである。上陸の予測は短期的なもので、ハリケーンや熱帯低気圧が海岸線に到達する可能性がある約1週間以内に行われる。NOAAの国立ハリケーンセンターは、5日先までの熱帯気象予測を発表し、ハリケーンや熱帯低気圧の予想進路と強さ(勢力)、大雨と暴風および高潮に関する注意報と警報を発表している。

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