ハワイの壊滅的な山火事と気候の関係

速いスピードで燃え広がる炎で、ハワイで2番目に大きな島、マウイ島の歴史的な町・ラハイナが壊滅的な被害を受けています。

この画像は、2023年8月8日、現地時間午後10時25分にアメリカ地質調査所(USGS)が運用する地球観測衛星ランドサット8号の陸域イメージャ・センサ(OLI)が観測した火災の様子を示しています。画像からは、約13,000人が住むラハイナの町の広い範囲が炎上しているのがわかります。また島の南西沿岸の町・キヘイの北西部でも別の大規模な火災が確認できます。

火災はマウイ島で強風が吹き、空気が乾燥した状況の中で発生しました。アメリカ国立気象局によると、8月7日から9日の間、島では最大45から67マイル(約20から30m/s)の風が吹いていました。島の北にあった強い勢力の高気圧と、南を通過したハリケーン「ドーラ」の影響で風が強まった可能性があります。また、アメリカ干ばつモニター(USGM)の分析によれば、火災の発生時、島の南西部は中程度から重度の干ばつに見舞われていました。

マウイでは何百もの建造物が損害を受け、特にラハイナ港周辺で広範囲の被害が報告されています。8月9日、当局は捜索と救助活動を続けています。
(画像、文章ともに「NASA The Earth Observatory」より)

ハワイの気候について

マウイ西部などハワイ諸島の西側(風下または山の斜面側)の多くは、乾燥気候または半乾燥気候です。雨は晩秋から初春の時季に集中し、夏は干ばつになるのが一般的です。近年は地球温暖化により、干ばつのシーズンは、さらに気温が高くなる傾向があります。

2020年、2021年、2022年のラニーニャ現象が発生した年は、8月の干ばつの状況は今年よりもより深刻でした。つまり今年の干ばつは特別なものではありません。しかしながら、非常に乾燥した風が山地を吹き降り、火災が発生しやすい環境であったといえます。

アメリカの山火事の記録

イェール大学の環境に関する取り組みのひとつ、クライメート・コネクションズは、アメリカで過去に発生した大規模な山火事のデータランキングを公表しています。

アメリカ当局では国内の山火事による死者数を公式に集計していませんが、国際的な災害データベースであるEM-DATには、1911年以降の世界の山火事の統計が残されています。クライメート・コネクションズは、このデータに加え、他の公式および非公式の情報源から得たデータを使用して、少なくとも20人以上の死者が出た山火事のリストを作り、公表しました。

ただリストを公表した時点では、今回のマウイ島の死者が67人でしたが、この記事を書いている時点で93人になったので、実質的には上位5番目の順位になります。
過去100年間で見ると、今回は2番目に死者が多い山火事となります。

1.1200〜2500人の死者、1871年(ウィスコンシン州ペシュティゴ火災)
2.453人の死者、1918年(ミネソタ州クロケット火災)時々誤って1000人と記載されることがあります
3.418人以上の死者、1894年(ミネソタ州ヒンクリー火災)
4.282人の死者、1882年(ミシガン州サム火災)
5.88人の死者、2018年(カリフォルニア州パラダイスのキャンプ火災)
6.87人の死者、1910年(アイダホ州およびモンタナ州の大火)
7.67人の死者、2023年(ハワイ州マウイ火災)
8.65人の死者、1902年(オレゴン州およびワシントン州のヤコルトバーン)
9.32人の死者、2020年(カリフォルニア州のオーガスト複合火災)
10.29人の死者、1933年(カリフォルニア州ロサンゼルスのグリフィスパーク火災)
11.26人の死者、1991年(カリフォルニア州オークランドヒルズのトンネル火災)
12.22人の死者、2017年(カリフォルニア州のタブス火災)

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